2009年11月16日月曜日

07:情報プロダクトの詰め



■TAのプロトタイプ事例。大学院1年の木村と深井のプロトタイプの事例を紹介。主に木村はプロダクトデザインの課題、深井は情報デザインの課題を解説。後のプレゼンテーションやモデル制作の為に3DCGは使える様になるべき。プロダクト系の人は必須といっても良いと思います。木村はShadeとRhinoceros、深井は3ds Maxを使います。


■イラストレーターやフォトショップといった2DCGソフトはインターフェースやグラフィック表現に向いています。3ds MaxやShade、Rhinocerousなどの3DCGはプロダクトや建築などの立体表現に向いています。どのソフトウェアも「道具」ですので使いこなせるということが大切です。「とりあえず何か作ってみる」というスタンスで日頃からソフトウェアの練習を行っていると必要なときに強力な表現力という武器になります。

代表的な3DCGソフトウェア
Shade (win/mac):ビギナーからプロまで利用されている。プロダクト、建築向き。
3dsMAX (win):大学のコンピューター演習室で利用できる3Dソフトウェア。映像向き。
Rhinoceros (win):プロダクトデザイン系では企業や事務所でもシェアが高い3Dツール。
Maya (win/mac):映画などにも利用されるプロ向けの3Dツール。

可能な限り自分が進みたい業界で普及しているツールを使う事をお勧めします。体験版が各サイトで配布されているので使ってみると良いでしょう。


■プロトタイプ展の紹介
11月23日まで(東京ミッドタウン、デザインハブ)

プロトタイプ展




■各グループでのディスカッション開始
情報プロダクトの形を詰めていく段階です。形を考える上で大切なのはどんなユーザーがどのような使い方をするかが決まっている事で、そこからプロダクトの大きさや性能といったスペックが決まります。また、あまり既成概念にとらわれすぎないことも重要です。カメラで言えばシャッターボタンがあって、ズームレバーがあって…という風に考えていくと結局今あるカメラっぽいものになってしまいます。ユーザーがどう「旅の体験」と接するのかという視点で考えると必ずしもカメラという形が最適ではないかもしれません。何をユーザーに体験してほしいのか整理して、その上でどういう形がユーザーにとって良いのか検討しましょう。


■次回は祝日を挟んで情報プロダクトの最終発表です。
パワーポイント(3分)
・テーマ、グループ名、メンバー名
・代表的なフォトエッセイとフォトダイアリ
・フォトエッセイとフォトダイアリからの気づき
・デザインコンセプト(うれしい価値)
・対象ユーザーとシナリオ
・シーンのスケッチ
・画面スケッチ
・プロダクトスケッチ(イラストレーター3面図)

アクティングアウト(2分)
・プロダクトのプロトタイプを使用
・背景にはシーンの写真を投影
・最後にプロトタイプを見せる

必要なデータはすべて一つのフォルダにまとめて授業が始まるまでに持ってきて下さい。

2009年11月12日木曜日

06:情報プロダクトアイデア展開


■6週目を迎え、今月末には折り返し地点です。情報プロダクトに関してはそろそろ詰めの段階です。また冒頭で話のあったデザイナーズウィークに関してリンクで紹介しておきます。他にもいろいろなサイトでレポートが紹介されていますので調べてみて下さい。

TDW 2009 / Design Channel



■横溝先生からデザインコンセプトの立て方について事例紹介
愛媛の水引きを使ったデザインの事例。生活スタイルの変化で水引きのニーズが減ってきた。水引きというものをどうやって未来へつないでいくか。「水引きの文化を世界へ伝える。」「地域資源である伊予水引きをリデザインし、その文化的価値を広く伝える」


お祝いの新しい形
 1.食卓を美しく彩る
 2.祝いをメタファにした形と機能
 3.送り手の気持ちを伝えるギフト

水引きを用いた箸、ナプキンホルダー、グラスマーカーの提案。

写真もすべて自分で撮影されており、道具が進化しているから自分で出来ることの幅が広がっているとの事です。デザインだけでなくその後のプロモーションまで考えることも大切です。



■各グループでアイデア展開。アイデアをスケッチなどで持ち寄り、実現性などの詳細な部分まで検討します。



■途中、ひとまず先生に3案をプレゼン。3案は「とても使ってみたい、これなら役立ちそう」「とてもオリジナリティがある、これは見たことがない」「とてもカッコいい、魅力的」の視点でそれぞれ1案ずつ選択。やりたい事が明確なグループほど深い部分までアイデアが出ていますが、漠然としているグループはまだ迷走気味です。がんばりましょう。

■次回までの課題は一人一点、イラストレータを使用して情報プロダクトの3面レンダリングを制作して下さい。ある程度進んでいるグループは随時スタイロフォームなどを使って立体のモックアップ制作を始めて下さい。

2009年11月5日木曜日

05 : プロダクト中間発表

■早くも情報プロダクトの中間発表です。全12グループがテーマや気づきについてまとめ、そこからユーザーシナリオ、プロダクトのスケッチ、ラピッドプロトタイプの発表を行い、最後にシナリオに基づいたアクティングアウトを演じてもらいました。






■テーマや目的がはっきりしているグループほど伝わりやすいプレゼンテーションでした。逆にテーマの中で定義が曖昧なグループほど伝えるべきことが何かわからず、プレゼンテーションを作りにくかったようです。アクティングアウトも同様です。また提案に向かうに連れてテーマから離れていってしまったグループもありました。また、面白いアクティングアウトを目指しすぎて「演じて見せる目的」を忘れてしまっているグループもありました。次回以降、そのあたりも踏まえておくと楽しく、印象的でわかり易いアクティングアウトになると思います。


■またいくつかのグループで見られたのは単なるケータイアプリケーションになってしまっているアイデアです。ぜひテーマとそのシナリオから独自の情報プロダクトの形を探ってください。最初から現実を見すぎるとアイデアも広がりにくく、夢のない提案になってしまいます。



■プレゼンテーションを聞いている間は各自ポストイットを持ってコメントを書き、後でグループごとに回収する方式を採用。すぐにグループにフィードバックできるだけでなく、さらにコメントの内容を整理してマッピングできるという一石二鳥の方法でした。


■コメントの内容は様々ですが、すべてを鵜呑みにしない様にしてください。自分たちのやりたい事に肯定的な意見もあれば、逆に否定的な評価もあって当然です。大切なのは肯定的な意見には「提案のどのポイントが良かったのか」を、否定的な意見には「なぜ評価されなかったのか」を調べ、考える事です。アイデアの良い所を延ばし、悪かった部分には修正や割り切りが必要です。同じような突っ込みが次回以降のプレゼンで来たときにしっかりとデザインの意図を回答出来る様にしてください。


■次週はコンセプトの見直しをして、シーンやシナリオの再検討を行なうことと、A4用紙に情報プロダクトのアイデア展開を書いてくる事が宿題になります。

2009年10月26日月曜日

04:アイデア(シナリオとシーンスケッチ)


■本日は宿題であった各テーマに沿ったシナリオとシーンスケッチの発表です。グループ内で発表を行い、ベスト3を決めてもらいました。まだまだシナリオに必要な情報(5W1H)が入っていない様です。テーマの対象が広すぎるグループは5W1Hで悩んだ様です。



■シャッフルディスカッション。先ほど選んだベスト3を他のグループで発表。他グループのaiアイデアを評価をすることで自分たちのアイデアの見直しも行います。これはプレゼンテーションの練習も兼ねたもので、自分たちが聞いていてわかりやすかった発表とそうでなかった発表の何が違うのかを考えた方が良いですね。良いコメントが得られるかどうかは発表者の腕次第です。



■シャッフルディスカッションから得られたコメントを持ち帰ってグループで話し合います。次週のプロダクト中間発表に目向けて、デザインコンセプトを次の2点に気をつけて考えます。

1.ユーザーにとって魅力的なコンセプトになっているか?
2.これまでに無い新規性のあるコンセプトになっているか?

その他にも自分たちの気づき(フォトエッセイ、フォトダイアリ)が含まれているかなども考慮してほしいポイントです。これからの話になりますが、コンセプトと合わせて最終提案がありきたりな回答にならない様にも気をつけて下さい。


■ペーパープロトタイピングについて。紙を使ったラピッドプロトタイプ手法です。プロジェクト初期にアイデアを一度形にして視覚化するのに用いいます。説明するための小道具としても利用されます。ペーパープロトタイプは基本的に1/1サイズで作って下さい。

前期の情報デザイン論及び演習1 ペーパープロトタイプ



■次回は情報プロダクトの中間発表です。次週までに以下の物を準備して下さい。
・パワーポイントによるプレゼンテーション(以下は構成例)
 1.テーマ、グループ名、メンバー名
 2.代表的なフォトエッセイ
 3.代表的なフォトダイアリー
 4.フォトエッセイとフォトダイアリーからの気づき
 5.デザインコンセプト(ユーザーにとってうれしい価値)
 6.対象ユーザーとシナリオ
 7.シーンスケッチ
 8.プロダクトスケッチ
(スライドは10以内に。PPT形式以外にPDF形式でも保存して下さい。)

・アクティングアウトによる発表
 1.プロダクトのペーパープロトタイプを用いる
 2.背景にはシーンの写真を投影
(1分以内にユーザーの使用シーンを演じて下さい。)

プレゼンデータは11/2の12:40から受け付けます。プレゼンテーションでは簡単な発表原稿を用意しておくと良いです。いい忘れを防いだり、第三者に伝わるかどうかを見直すのにも役立ちます。


■参考
前期の情報デザイン論及び演習1 ペーパープロトタイプ
昨年の情報デザイン論及び演習2 プロダクト中間発表の様子

2009年10月19日月曜日

03 : フォトエッセイ&フォトダイアリ


■今回は宿題だった各グループのテーマ、フォトエッセイ、フォトダイアリの発表とそこから得られた「気づき」からアイデア展開という流れで進めました。



■テーマに関しては漠然としすぎているものから、設定が細かすぎて最後の提案まで行き着いてしまっているグループまで様々です。テーマとしては「こういう人にこういう場所でこういう体験をしてもらいたい。」というぐらいの表現がちょうど良いです。テーマはアイデア展開の方向を示す基準になります。いろいろ考えてアイデア広がりすぎてしまったり、キーワードは出たけどそこからどうして良いかわからなくなったりした時にテーマを思い出しましょう。



■次に各グループでフォトエッセイの発表。フォトエッセイではそれぞれの内面を書いているので、他の人が理解出来る感覚や言葉でないのが大半です。なぜそう感じたのかをお互いに聞くことで自分の感覚に置き換えたり、比較して関連するキーワードをポストイットに書き出していきます。


■アイデア展開などでのポストイットの使い方は各自ポストイットを束で手元に持ち、黒マーカーorサインペンで、1m離れても見えるサイズで、「東京の美しい夜景」「穏やかな波の音」ぐらいの言葉にまとめて書いて下さい。長文で書きすぎて字が小さく読めない、名詞や形容詞の1語しかなく何が言いたいのかわからないものもありました。エッセイに関する感想だけのポストイットもあまり意味がありません。



■ある程度キーワードが出そろったらグルーピングを行ないます。似たキーワードを集めて整理することで新しいキーワードを見つけたり、ディスカッションを進めやすくします。また人に考えを伝えやすくする為にも利用します。ポストイットの方向を揃えたり、グループに名前をつけたり、読みやすい環境を作ることは自分たちにとってもメリットになります。



■フォトダイアリも基本は同じです。発表する人はどういう1日だったのかを聞く人に理解してもらえる様に、聞く人は発表している人に質問し話し合う中で「それってこういうことだよね」ということや「こういうのもあるよね」ということ等をキーワードとしてポストイットに書いていきます。出てきたキーワードはすかさずポストイットに書きましょう。会話だけ弾んで手が止まっているのはもったいないです。


■フォトエッセイとフォトダイアリのキーワードとグループテーマからアイデア展開を行いシナリオを書きます。シナリオはグループのテーマをベースに「どんな人にいつ、どのような体験をしてもらい」そうすることで「その人にどんな良いことがあるか」を文章にします。大事なのは各グループのテーマに使われている言葉をしっかり定義することです。

例えば「旅を通じて人生のレベルアップをする」というテーマであれば、「レベルアップ」とは何なのかを考えることです。人によってレベルアップしたい事、目的、方法は違うので「どんな人に」という部分は特に大切になりそうです。まだテーマが漠然としているグループも、例えば「気ままな旅」とはどういうシチュエーションなのかをリストに書き出してみると良いかもしれません。


■来週までの宿題は一人3つ以上のアイデアです。アイデアごとにスケッチ(A4以上の紙にマーカーorサインペン)とシナリオを書いてきてください。あと今回書いたポストイットを模造紙に整理したり、テキストに書き起こしておくことをお進めします。

2009年10月5日月曜日

02 : グループ分けとテーマ設定


■CEATECは最新の情報技術の見本市のようなモノです。ぜひ行きましょう。10月6日から10日まで、幕張メッセで開かれています。CEATECのウェブサイトで事前登録をしておくと素早く無料で入場できます。現在の技術レベルを知っておくのもデザインにとって大切です。

CEATEC JAPANはこちら


■演習テーマは「魅力的な旅の体験のためのデザイン」。旅というのはあくまで手段なので「誰」が「旅行先/旅行中」に「どんなこと」をするのかが大切です。「旅」という言葉にとらわれず、「旅の体験」をデザインすることを考えて下さい。主なグループ担当は1〜3(横溝)、4〜6(木村)、7〜9(深井)、10〜12(山崎)です。



■最初は自己紹介として「好きなもの」を発表し合い、グループとしてどういう人が集まっているのかをまとめてもらいました。そこからグループテーマについてアイデア出しを行いましたが、なかなか「これ」というテーマが出てこないグループも多いようです。あまり万人受けすることを考えず、個性あるテーマを見つけて下さい。今回の演習の中でも似たアイデアのグループが見られたのですこし注意が必要です。



■次回までの課題はフォトダイアリーとフォトエッセイです。新しい気づきをみつけたり、なぜ魅力的に感じたのかを考える手法です。見つけた気づきに「なぜ?」と問いかけることが物事の本質発見につながります。その本質をうまくテーマやアイデアに生かすことがデザインにオリジナリティや魅力、説得力を与えます。

・各グループのテーマを決定すること
・各自フォトダイアリーを作ること
・各自フォトエッセイを作ること
・グループでCEATECなどの調査を行うこと

昨年の内容はこちら

また、1週間に1回はグループで集まる日を決めましょう。授業の時間だけではまず足りません。毎回の積み重ねが最終成果に出ます。

2009年9月28日月曜日

01 : ガイダンス


■本日は第1週ということでガイダンスです。演習全体の進め方や過去の演習で作られた作品の紹介、演習を履修する上での注意などの説明が山崎先生から行われました。カリキュラムが新しくなり、情報デザインの演習は初めて2年生向けに芝園キャンパスで行われます。この演習では山崎先生の他に講師として横溝先生に加わって頂きます。



■演習のテーマは「魅力的なモバイル体験」で、演習の前半は情報プロダクト、後半はそのプロダクトのインターフェースをデザインします。かなり自由度の高いテーマなので、自分の日常を振り返ってみたり、街行く人を観察してみたり、友達どうしでディスカッションをしてみて楽しさや面白さといった魅力的なポイントを発掘することが大切です。


■ここからは学生向けのアドバイスになります。グループワークで進みますので各自の得意分野を活かせる役割分担が必要です。最終的なアウトプットは模型とFlash(もしくはMovie)になりますの で、担当が決まったら少しずつで良いから予習をしておくと後半スムーズに作業できると思います。この演習を通して上手いグループワークの進め方も学んでください。ユーザー調査、コンセプト立案、アイデア展開、ラピッドプロトタイプ、ユーザー評価など様々なステップを踏むことになり、この演習の15週間はあっという間に過ぎてしまいます。ぜひ余裕のあるうちにプロセスの予習(先読み)をお進めします。

00 : ブログスタート

千葉工業大学工学部デザイン科学科にて2009年度後期、2年生を対象に開講される情報デザイン演習1のブログです。

授業内容や活動を学内外に発信していきます。

この演習は新カリキュラムとなり、前年まで3年次前期の演習を2年次後期に早め、デザインプロセスの体験と作品作りの機会を増やす方針になりました。

このブログはティーチングアシスタントを担当する木村友昭、深井
将史千葉工業大学大学院修士課程・デザイン科学専攻1年・山崎研究室所属)が主に行います。